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法定相続情報証明制度に関するQ&A

2017/08/04

  ※参考 ⇒ 法定相続証明制度に関する事務の取扱いの一部改正

  ※参考 ⇒ 法定相続証明制度創設に伴う質疑事項集-H30.3.29版

目次
  • 1. 法定相続情報証明制度に関するQ&A
    • 1.1. 総論
    • 1.2. 第1 法定相続情報一覧図つづり込み帳及びその保存期間
    • 1.3. 第2 不動産登記の申請等における添付情報の取扱い
    • 1.4. 第3 法定相続情報一覧図
    • 1.5. 第4 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出
    • 1.6. 第5 添付書面について
    • 1.7. 第6 法定相続情報一覧図への相続人の住所の記載について
    • 1.8. 第7 一覧図の写しの交付等
    • 1.9. 第8 一覧図の写しの再交付
    • 1.10. 第9 法定相続情報に変更が生じたとして再度の申出があった場合
    • 1.11. 第10 連名による申出について
  • 2. 関連する記事

法定相続情報証明制度に関するQ&A

平成29年8月4日版

総論

Q1 法定相続情報証明制度の創設の目的は何か。

A1 相続登記が未了のまま放置されることは、所有者不明土地問題や空き家問題を生じさせる大きな要因の一つであるとされ、平成28年6月に相続登記の促進に取り組むことやそのための制度を検討することが閣議決定された。そこで、相続人の相続手続きにおける手続的な負担軽減と本制度を利用する相続人に、相続登記を直接促す契機を創出することにより、今後相続登記が未了のまま放置されることのないようにするとともに、相続登記を促進するために、新たな制度として創設されたものである。

第1 法定相続情報一覧図つづり込み帳及びその保存期間

Q2 法定相続情報一覧図つづり込み帳とは何か。

A2 法定相続情報一覧図を保管するために、新たに創設されたつづり込み帳のこと(規則第18条第35号)。法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出に際し登記所に提出された法定相続情報一覧図がつづり込みの対象となり、これに基づき認証文が付された法定相続情報一覧図の写しが交付される。

Q3 法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間はどのようになっているのか。

A3 法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間は、作成の年の翌年から5年間とされている(規則第28条の2第6号)。5年間の始期は、作成の年の翌年の1月1日である。

Q4 法定相続情報一覧図の写しの再交付の申出があったとしても、当初の申出に係る法定相続情報一覧図や申出書等の保存期間が延長されることはないとの理解でよいか。

A4 そのとおり。

Q5 法定相続情報一覧図つづり込み帳につづり込まれた書面については、法第153条及び第155条の適用はないとの理解でよいか。

A5 そのとおり。したがって、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)等に基づき、開示請求をすることができる。

第2 不動産登記の申請等における添付情報の取扱い

Q6 相続による権利の移転の登記等の申請をする場合、申請先の登記所に既に法定相続情報一覧図が保管されているときには、当該一覧図の写しや戸除籍謄抄本の提供を省略できるか。

A6 省略できない。

Q7 法定相続情報一覧図の写しに相続人の住所が記載されている場合において、当該一覧図の写しを、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(戸除籍謄抄本等)の提供に代えて、相続による権利の移転の登記等の申請に添付したときは、当該一覧図の写しを登記名義人等となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(住民票等)に代えることができるか。

A7 代えることはできない。

Q8 民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号)を踏まえ、平成25年9月4日以前に開始した相続について、相続人たる被相続人の子が複数いる場合、一覧図の写しを提供して法定相続に基づく権利の移転の登記の申請等をするときは、嫡出子・嫡出でない子の法定相続分の疎明のため、別途戸除籍謄抄本を添付する必要があるか。

A8 法定相続情報一覧図が列挙形式であって、嫡出子・嫡出でない子の併記がないためにその別が判明しない場合には、別途添付する必要がある。(関連Q20参照)
 ※H25.12.11民二781局長通達を参照

Q9 兄弟姉妹が相続人であって、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹と父母の双方を同じくする兄弟姉妹がいる場合、法定相続情報一覧図の写しを提供して法定相続に基づく権利の移転の登記の申請等をするときは、法定相続分の疎明のため、別途戸除籍謄抄本を添付する必要があるか。

A9 法定相続情報一覧図が列挙形式であって、父母の一方のみを同じくするのか、双方を同じくするのかの情報の併記がないためにその別が判明しない場合には、別途添付する必要がある。(関連Q21参照)

Q10 相続関係説明図に法定相続情報一覧図の写しでは確認することができない身分事項等が記載されている場合(例えば、被相続人の子のうちの一人が先に死亡している場合であって、当該一覧図の写しには当該子の存在が記載されていないが、相続関係説明図には当該子が記載されているとき)であっても、当該一覧図の写しは還付されるか。

A10 還付される。

Q11 法定相続情報一覧図の写しに被相続人の最後の住所が記載され、これが登記記録上の住所と同一であった場合は、いわゆる被相続人の同一性についての確認をすることができるものと考えるがどうか。

A11 そのとおり。

Q12 数次相続が生じており、各々の相続に関して法定相続情報一覧図が作成されている場合、一次相続の相続人が二次相続の被相続人であることを証明するには、各一覧図の写しの他に、当該同一性を証明する戸籍謄本等が別途必要となるか。

A12 第一次相続の相続人と二次相続の被相続人の同一性の確認は、氏名と生年月日が同であれば足りるため、同一性の確認のための戸籍謄本等を提供する必要はない。

Q13 数次相続の場合による権利の移転の登記の申請に際して、一次相続に関しては、法定相続情報一覧図の写しを添付し、二次相続に関しては、従来どおりの戸除籍謄抄本を添付してすることは可能か。

A13 可能である。

Q14 商業登記の申請において、例えば合名会社等の相続による社員の変更の登記の申請書の添付書面として、法定相続情報一覧図の写しを添付することが出来ると考えるがどうか。また、株式会社等の役員死亡時の死亡を証する書面としても使用することができるか。

A14 いずれも可能である。(平成29年5月18日付法務省民商第84号通知)また、供託手続きにおいても、相続人が供託物払渡請求をする場合の添付書面として、法定相続情報一覧図の写しを添付できるとされている。(平成29年5月17日付法務省民商第83号通知)

第3 法定相続情報一覧図

Q15 法定相続情報一覧図とは何か。

Al5 登記名義人等について相続が開始した場合において、特定の被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡年月日、並びに当該被相続人の相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び当該被相続人との続柄を一覧図にした書面のことである。相続登記申請に際して司法書士が作成している、いわゆる相続関係説明図とは異なり、たとえ被相続人の配偶者や子であった者でも相続開始の時において相続人でない者は記載せず、また相続放棄の有無や遺産分割協議の結果、相続分なども記載しない。
また、法定相続情報一覧図を作成した申出人又はその代理人は、作成した一覧図に住所を記載し、署名又は記名押印する。代理人が戸籍法第10条の2第3項に掲げる者である場合は、住所については事務所所在地とし、併せてその資格の名称も記載する。

Q16 数次相続が生じている場合、一つの法定相続情報一覧図にまとめて記載してもよいか。

A16 一つの法定相続情報一覧図に数次相続をまとめて記載することはできない。それぞれ被相続人ごとに法定相続情報一覧図を作成し、それらを組み合わせて対応することになる。

Q17 同順位の相続人の中に、被相続人の死亡後に死亡した者がいるときに、その者の死亡年月日を記載した場合は、訂正(削除)を求められるか。

A17 訂正(削除)を求められる。なお、法定相続情報一覧図は、戸除籍謄抄本の記載から判明する被相続人の死亡時点の相続関係を表すものであるため、相続発生後に死亡した相続人があったとしても、その者の死亡年月日は記載されない。

Q18 続柄について、配偶者を「妻」等として記載した場合、訂正を求められるか。

A18 訂正は求められない。

Q19 続柄について、子を「長男」等として記載した場合、訂正を求められるか。

A19 訂正は求められない。

Q20 列挙形式の法定相続情報一覧図に関し、相続人である子について、「嫡出子」や「嫡出でない子」との併記をした場合、訂正(削除)を求められるか。

A20 訂正(削除)は求められない。

Q21 列挙形式の法定相続情報一覧図に関し、兄弟姉妹が相続人であって、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹と父母の双方を同じくする兄弟姉妹がいる場合で、その旨の併記をした場合、訂正(削除)を求められるか。

A21 訂正(削除)は求められない。

Q22 相続人について、法定相続分を併記した場合には、訂正(削除)を求められるか。

A22 訂正(削除)を求められる。

Q23 被相続人の最後の住所が記載され、かつ、規則第247条第3項第3号に規定する書面を添付した場合で、被相続人の本籍地も併記した場合には、訂正(削除)を求められるか。

A23 訂正(削除)は求められない。

Q24 生年月日の記載について、例えば「S31.5.18」というような略記をした場合、訂正を求められるか。

A24 訂正は求められない。

Q25 被相続人の子のうちの一人が被相続人よりも先に死亡しており、かつ、当該子に代襲者がいない場合において、一覧図に当該子の氏名、死亡年月日等の記載をしたときは、その記載の訂正(削除)を求められるか。

A25 訂正(削除)を求められる。

Q26 離婚した元配偶者や被相続人よりも先に死亡した配偶者の氏名等を記載した場合、訂正(削除)を求められるか。

A26 訂正(削除)を求められる。ただし、具体的な氏名、生年月日や死亡年月日が記載されていない場合(単に「元配偶者」や「(女)」と書かれている場合など、その記載によって相続人のうちの一人との誤認を受けないもの)であれば、訂正(削除)は求められない。

Q27 相続人について、相続欠格や相続放棄との併記をした場合に、これらの事由を証する書面を添付しても、訂正(削除)を求められるか。

A27 訂正(削除)を求められる。

Q28 廃除された推定相続人の氏名等を記載し、廃除された旨及びその年月日を併記した場合、訂正(削除)を求められるか。

A28 訂正(削除)を求められる。

Q29 被代襲者の記載について、「被代襲者」の表記に加え、その者の氏名を記載した場合、当該氏名の訂正(削除)を求められるか。

A29 廃除の場合は訂正(削除)を求められる。

Q30 被相続人の登記記録上の住所を併記した場合、訂正(削除)を求められるか。

A30 訂正(削除)を求められる。

Q31 戸籍に記載のある氏名が誤字又は俗字であるが、法定相続情報一覧図の記載は正字で記載しなければならないのか。

A31 法定相続情報一覧図への氏名の記載は、戸籍に記載のある文字でも、正字に引き直されたものでも、いずれでも差し支えない。

Q32 法定相続情報一覧図は、手書きによるものでも差し支えないか。

A32 差し支えないが、判読性の観点から機械印字が推奨される。

Q33 法定相続情報一覧図は、鉛筆書きによるものでも認められるか。

A33 鉛筆書きによるものは認められない。

Q34 婚姻関係を示す線を一本線で表記した場合、二本線(二重線)への訂正を求められるか。

A34 求められないが、二本線(二重線)による表記が推奨される。

第4 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出

 

Q35 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出ができる者は誰か。

A35 被相続人の相続人又は当該相続人の地位を相続により承継した者である(規則第247条第1項柱書)。代理人からの申出については、Q37参照。

Q36 申出をした相続人以外の相続人は、申出の有無に関して、照会することができるか。

A36 申出の有無を照会することはできない。

Q37 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出は、代理人によってできるか。

A37 できる。代理人が申出をする場合は、当該代理人の氏名又は名称、住所及び連絡先、代理人が法人であるときは、その代表者の氏名を申出書に記載する必要がある。また、委任による代理人にあっては、その親族又は戸籍法第10条の2第3項に掲げる者に限定されている(規則第247条第2項2号)。
 なお、親族については、民法に規定する親族をいう。Q51参照。

Q38 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出を行うことの委任を受けた司法書士は、職務上請求により戸籍等の取得はできるのか。

A38 戸籍法第10条の2第1項各号に定める事由を有する者から申出を行うことの委任を受けた戸籍法第10条の2第3項に掲げる者は、職務上請求により戸籍等の取得ができる。なお、職務上請求書の記載例は以下のとおりである。

【日本司法書士会連合会1号様式の請求書記載例】

利用目的の種別     2

業務の種類       法定相続情報一覧図の保管及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申出の代理

依頼者の氏名又は名称  東京花子

依頼者について該当する事由  権利行使又は義務履行

上記に該当する具体的事由  平成〇年〇月〇日死亡した被相続人〇〇の相続人として、相続に起因する〇〇の手続をなすため

Q39 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出はどこにするのか。

A39 被相続人の本籍地若しくは最後の住所地、申出人の住所地、又は被相続人を表題部所有者、若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してすることができると規定されている(規則第247条第1項)。申出は、郵送によることも可能とされている。申出をすることができる登記所は、申出人の利便性を考慮して申出人による選択が可能となっている。

Q40 束京電力福島第一原子力発電所の事故により避難されている方が申出人となる場合の申出はどこにするのか。

A40 A39にある申出先のほか、「届出避難場所証明書」に記載のある避難場所を管轄する登記所の登記官にも申出をすることができる。なお、申出書の「申出人の表示」の欄に係る住所の記載については、住所と避難場所を併記することとなる。詳しくは、福島地方法務局の下記ホームページを参照のこと。 http://houmukoku.moj.go.jp/fukushima/page000201.html

Q41 被相続人名義の不動産が複数ある場合、すべて記載する必要があるのか。

A41 一部で足りる。被相続人名義の不動産が複数ある時は、いずれか一つの不動産所在事項又は不動産番号で足りる。ただし、不動産所在地を管轄する登記所に申出をする場合には、当該登記所の管轄区域内の不動産の所在事項等を記載する。

Q42 利用目的が不動産登記手続以外である場合、不動産の所在地を管轄する登記所に対し申出をすることは可能か。

A42 可能である。利用目的により区別されない。

Q43 相続による権利の移転の登記等の申請(相続関係説明図の提出あり)と併せて法定相続情報一覧図の保管及び写しの交付の申出をした場合、どのように処理されるのか。なお、登記申請が電子申請による場合は、いわゆる特例方式により添付書面が提出したときに、併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をしたものとする。

A43 まず、相続による権利の移転の登記等の申請があったものとしてこれが登記され、その後に、当該登記等の申請手続において原本還付された戸除籍謄抄本が当該申出書の添付書面として取り扱われて、当該申出の一覧図の内容が確認されることとなるが、当該登記等の申請の審査の過程において、併せて法定相続情報一覧図の内容の確認まで行う場合もあり、結果的に戸除籍謄抄本は一式の添付で足りることとなる。

Q44 申出先登記所について、規則第247条第1項に規定される被相続人の本籍地とは、被相続人の死亡時点の本籍地(最後の本籍地)との理解でよいか。

A44 そのとおり。

Q45 規則第247条第3項第3号に規定する被相続人の最後の住所を証する書面を添付することができない場合は、相続人が認識している住所をもとに、申出先登記所を被相続人の最後の住所地を管轄する登記所にできるか。

A45 できない。

Q46 数次相続において、それぞれの相続に係る申出先登記所が異なる場合(例えば、一次相続において、その被相続人Aが所有権の登記名義人となっている不動産を管轄する甲登記所に申出をしようとした場合に、併せて申出をしようとする二次相続の被相続人Bについては、規則第247条第1項本文に掲げられる申出先登記所のいずれにも甲登記所が当たらない場合など)は、一次相続(又は二次相続)に係る申出先登記所に対して、便宜二次相続(又は一次相続)に係る申出を併せてすることができるか。

A46 各次の相続に係る申出を併せてする場合に限り、便宜同一の登記所に申出することができる。

Q47 申出書及び添付書面は、使者が持参することができるか。

A47 できる。

Q48 法定相続情報を登記官が確認している途中で、申出の取りやめを求めることは可能か。

A48 可能である。その場合は、申出書及び添付書面の全てが申出人に返却される。

Q49 申出の取りやめは、書面による必要があるか。また、委任による代理人から申出の取りやめをする場合は、取りやめに関する特別な授権が必要か。

A49 いずれもその必要はない。

Q50 法定相続情報一覧図に不備があった場合の取扱いはどのようになるのか。

A50 添付された法定相続情報一覧図の記載に誤りや遺漏がある場合、登記官は、申出人又は代理人にその旨を伝え、速やかに誤り等の訂正をさせ、清書された正しい法定相続情報一覧図の添付を求めることとなる。なお、訂正等の方法については、Q84を参照。また、添付書面が不足している場合、登記官は、申出人又は代理人に不足している添付書面を伝え、一定の期間内に補完するよう求める取扱いになっている。

Q51 委任による代理人における「親族」とは民法(明治29年法律第89号)第725条に規定する親族であるとの理解でよいか。

A51 そのとおり。配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族のことである。

Q52 特別代理人(民法第826条等)は、申出を代理することができると考えるがどうか。

A52 そのとおり。

Q53 利用目的のその他欄について、単に「相続手続のため」と記載した場合、更に具体的な手続の名称の記載を求められるか。

A53 求められる。単に「相続手続のため」と記載するだけでは、登記官が提出先を推認することができないため、例えば、「株式の相続手続」等の具体的な記載を求められることとなる。

Q54 利用目的について、「遺産分割調停の申立てのため」との記載をした場合、申出は認められるか。

A54 認められる。

Q55 郵送による申出の場合には、申出の年月日はいつになるのか。

A55申出先登記所が郵送された申出書及び添付書面を受領した日である。

第5 添付書面について

Q56 申出書の添付書面はどのようなものか(規則第247条第3項)。

A56 ①法定相続情報一覧図

②被相続人(代襲相続がある場合は、被代襲者を含む)の出生時から死亡時までの戸籍及び除籍の謄本なお、被相続人や被代襲者の除籍謄本等の一部が減失しているときは、当該除籍等に代えて、「除籍等の謄本が交付できない」旨の市区町村長の証明書でも差し支えない。

③被相続人の最後の住所を証する書面

なお、最後の住所を証する書面が廃棄されていて取れないときは、申出書及び一覧図には、最後の住所の記載に代えて被相続人の最後の本籍地を記載する。

④相続人の戸籍謄抄本

⑤申出人が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する戸籍謄抄本等

⑥申出書に記載されている申出人の氏名及び住所が記載されている市区長村長その他公務員が職務上作成した書面

※いわゆる本人確認資料であるが、運転免許証のコピー(当該申出人によって原本と相違ない旨の記載及び署名又は記名押印がされたもの)などがこれらにあたる。

⑦代理人の権限を証する書面

Q57 申出書に添付する相続人の戸籍は、抄本でもよいのか。また、被相続人死亡後に発行されたものに限られるのか。

A57 いずれもそのとおり。

Q58 申出書に添付した戸籍謄本や住民票の写し等は返却されるのか。

A58 返却される。ただし、親族代理人についての代理人の権限を証する書面として添付した戸籍謄本や、いわゆる申出人氏名住所確認書面として添付した住民票の写し等は返却されない(規則第247条第6項)。なお、返却を求める場合の手続きについては、Q86からQ89までを参照のこと。

Q59 被相続人の戸除籍謄本について、いわゆる生殖可能年齢より前のものも添付を求められるか。

A59 除籍等が減失等している場合を除き、求められる(規則第247条第3項第2号)。ただし、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をした場合に限り、当該登記申請における登記官の審査に必要な範囲の戸除籍謄抄本が添付されていれば、必ずしも被相続人の出生時からの戸除籍謄本の添付を求められるものではない。

Q60 数次相続の場合、複数の被相続人の法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出を同時にすることがあり得るが、添付書面たる戸除籍謄抄本の一部がそれぞれの申出において兼ねられる場合、当該謄抄本については複数の申出を通じて一通の添付があれば足りるか。

A60 足りる。

Q61 市町村の取扱いにより、除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書が発行されない場合は、除籍等の謄本の交付請求書等に市町村の担当者が交付不能の文言を記載したものをもって代替することが可能か。

A61 可能である。

Q62 施行通達第2の5(1)には、被相続人が日本国籍を有しない場合は法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付をすることができないとの例示があるが、相続人のうちの一人でも日本国籍を有していれば保管及び交付はされるのか。

A62 されない(被相続人・相続人全員が日本国籍を有していなければならない)。

Q63 施行通達第2の5(1)に関連し、相続人が帰化者である場合は、その者の戸籍謄本、抄本又は記載事項証明書を添付することができるため、その場合は、法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をすることができるか。

A63 規則第247条第3項第4号に規定する書面は、被相続人の相続人であることが判明すればよいため、設問のような場合は、できる。

Q64 兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母の戸除籍謄本も必要か。

A64 必要である。

Q65 規則第72条第2項第1号及び第2号(運転免許証、パスポートなど、資格者代理人による本人確認情報提供時における確認書類の一部)に規定する書面等は、いずれも規則第247条第3項第6号に規定する書面(以下「申出人氏名住所確認書面」という。)に該当するか。

A65 申出人の住所及び氏名の記載があれば該当する。

Q66 申出人氏名住所確認書面と規則第247条第4項の規定による住所を証する書面を一通の住民票記載事項証明書で兼ねることができるか。

A66 できる。ただし、申出人氏名住所確認書面は申出人に返却されないため、もし申出人が住民票記載事項証明書の返却を求める場合は、当該住民票記載事項証明書の全部の写しも添付する必要がある。
この場合の写しは、申出人が原本と相違がない旨を記載し、署名又は記名押印をする必要があるが、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出を代理人がする場合に限っては、当該写しへの原本と相違がない旨の記載及び署名又は記名押印は、当該代理人によってすることもできる。

Q67 申出人氏名住所確認書面について、申出人が成年被後見人であって謄本に原本と相違がない旨を記載することが困難であるなどの場合は、申出人に代わって代理人がその旨を記載することができるか。

A67 できる。

Q68 代理人によって申出をする場合、代理人の権限を証する書面として何が必要か。

A68 法定代理人と任意代理人によって異なる。

ア 法定代理人の場合

・親権者及び未成年後見人→未成年者に係る戸籍謄本等
・成年後見人又は代理権付与のある保佐人・補助人→後見登記等の登記事項証明書(被保佐人・被補助人については、代理権目録付きのもの)
・不在者財産管理人・相続財産管理人の場合→選任に係る審判書

イ 任意代理人の場合

・委任状
・親族→申出人との親族関係がわかる戸籍の謄本等
・戸籍法第10条の2第3項に掲げる者→資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等
・各士業法の規定を根拠に設立される法人→当該法人の登記事項証明書

なお、代理人の権限を証する書面について、原本の添付に加えて、代理人が原本と相違ない旨を記載し、署名又は記名押印をした謄本が添付された場合、登記官はそれらを確認の上、原本を返却する。

Q69 親族による代理について、代理人の権限を証する書面が例えば規則第247条第3項第4号の規定により提出される戸籍謄抄本と同一である場合、当該代理人の権限を証する書面は省略することが可能か。

A69 可能である。ただし、代理人の権限を証する書面は、その謄本(原本と相違ない旨の記載のあるもの)がなければ代理人に返却されないため、もし代理人が戸籍謄抄本の返却を求めたいときは、当該謄本も添付する必要がある。

Q70 委任状に押印する印鑑は認印でよいか。

A70 よい。

Q71 委任状への記名押印は、署名に代えることができるか。

A71 できる。

Q72 申出の委任状に記載する委任事項は、単に被相続人何某の相続手続に関することと記載があれば足りるか。

A72 係る記載では足りない。委任事項の記載は、法定相続情報一覧図の保管等申出の件であるとか、相続登記の申請など、具体的に記載する必要がある。

Q73 代理人の権限を証する書面のうち、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したもの(例えば、成年後見人が代理する場合における後見登記等ファイルの登記事項証明書等)は、作成から3か月以内のものである必要があるか。

A73 その必要はない。

Q74 司法書士法人等が代理する場合に、当該法人の会社法人等番号を申出書に記載すれば、当該法人の登記事項証明書の添付は省略することができるか。また、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をする場合に、当該申請に係る添付情報として会社法人等番号を提供した場合、当該法人の登記事項証明書の添付は省略することができるか。

A74 いずれも添付を省略することはできない。

Q75 保佐人・補助人の代理権目録の記載には「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出に関する件」という具体的な記載が必要か。

A75 必要ない。法定相続情報証明制度は相続手続に利用するものであるため、当該相続手続に関する代理権が認められていれば足りる(例えば、「財産の管理・処分」や、「相続に伴う不動産登記の申請」との記載など)。

Q76 成年後見人等に係る後見登記等ファイルの登記事項証明書に代えて、選任に係る審判書及び確定証明書を添付してもよいか。

A76 差し支えない。それらが代理人の権限を証する書面として取り扱われる。

Q77 施行通達第2の5(5)ウにより委任状の原本の返却を求めた場合、委任状は返却されるか。

A77 当該委任状は他の用途に利用する必要があるという前提で返却される。

Q78 委任による代理人が、相続による権利の移転の登記等の申請と併せて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をする場合、当該登記申請には委任状の原本及びその全部の写し(原本と相違ない旨の記載があるもの)を添付し、当該申出には委任状の全部の写し(施行通達第2の5(5)ウにのっとったもの)を添付するということも可能か。

A78 可能である。この場合、当該申出についても委任状の原本が添付されたものと取り扱われることになる。

第6 法定相続情報一覧図への相続人の住所の記載について

Q79 相続人の住所は必要的記載事項か。

A79 任意的記載事項である。ただし、記載した場合は、申出書の添付書類として住民票の写し等が必要となる(規則247条第4項を参照)。

Q80 法定相続情報一覧図の写しに相続人の住所が記載されている場合において、当該一覧図の写しを、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(戸除籍謄抄本等)の提供に代えて、相続による権利の移転の登記等の申請に添付したときは、当該一覧図の写しを登記名義人等となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(住民票等)に代えることができるか。

A80 代えることはできない。

Q81 法定相続情報一覧図における相続人の住所の記載は、相続人の住所を証する書面にある住所の記載と同一でなければならないか。

A81 そのとおり。

Q82 相続人が複数いる場合に、住所が記載される相続人と記載されない相続人が混在しても差し支えないか。

A82 差し支えない。

Q83 本制度において、住所を証する書面に代えて、住民票コードを提供する取扱いは認められるか。

A83 認められない。

第7 一覧図の写しの交付等

Q84 法定相続情報一覧図の訂正は、何字削除何字加入などとする、いわゆる見え消しの方法による訂正は認められるか。

A84 認められない。法定相続情報一覧図の訂正をする場合は、新たに作成し直すか、修正テープ等により直接修正することとなる。

Q85 申出書の訂正は、何宇削除何宇加入などとする、いわゆる見え消しの方法による訂正は認められるか。

A85 認められる。

Q86 登記所窓口における交付及び返却については使者による受領が可能か。

A86 可能である。

Q87 登記所窓口において法定相続情報一覧図の写しの交付及び添付書面の返却を受ける場合において、申出書に押印した印鑑を忘失等した場合には、申出の際に添付した申出人氏名住所確認書面と同一の書面を提示して交付及び返却を受けることになるが、申出の際に添付した書面と当該交付及び返却の際に提示した書面が同一でない(例えば申出書には申出人氏名住所確認書面として住民票記載事項証明書を添付したが、受領時には運転免許証の提示をしたときなど)場合はどうなるのか。

A87 登記所において氏名及び住所により申出人との同一性を確認することができれば、法定相続情報一覧図の写しの交付及び添付書面の返却がされる。

Q88 登記所窓口における法定相続情報一覧図の写しの交付及び添付書面の返却について、申出書の提出時等に事前に交付等予定日等も教えてもらえるのか。

A88 交付予定日等を申出人に伝えることも可能とされているが、具体的には登記所によりそれぞれ取扱いが異なるものと思われる。

Q89 法定相続情報一覧図の写しの交付及び添付書面の返却を送付の方法により受けたい場合、書留郵便や普通郵便などの送付方法は選・べるのか。

A89 選ぶことができる。送付の方法は専ら申出人の意向によって取り扱われることとなるが、法定相続情報一覧図の写しに記載されている情報の内容からすると、書留郵便等発送記録が残る方法により送付を受けるのが望ましい。

Q90 施行通達第2の7(5)ウの「申出があった日から起算」について、申出の内容に不備があり補完をした場合には、その起算日はいつか。

A90 当該補完をした日が、申出があった日とみなされるため、当該補完をした日が起算日となる。

第8 一覧図の写しの再交付

Q91 法定相続情報一覧図の写しの再交付の申出は可能か。

A91 可能である。規則第247条各項の規定(同条第3項第1号から第5号まで及び第4項を除く)は、法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をした者がその申出に係る登記所の登記官に対し一覧図の写しの再交付の申出をする場合に準用されている(規則第247条第7項)。添付書面については、規則第247条第7項において準用する同条第3項第6号及び7号を参照のこと(つまり、本人確認書類と代理人の権限を証する書面のみ)。なお、再交付申出書の様式については、法務省から別記第2号様式が示されている。

Q92 法定相続情報一覧図の写しの再交付はいつまでできるのか。

A92 法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間が満了するまでの間は、再交付が可能である。

Q93 申出人以外の相続人は、再交付の申出をすることができないとの理解でよいか。

A93 そのとおり。なお、申出人以外の相続人が法定相続情報一覧図の写しの交付を受けたい場合には、当初の申出人から再交付の申出に係る委任を受けるか、又は改めて法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をすることとなる。

Q94 申出人の相続人は、再交付の申出をすることができるか。その場合、どのような添付書面が必要か。

A94 できる。申出人の相続人が再交付の申出を行う場合には、その者が申出人の相続人であることを証する書面及びその者の申出人氏名住所確認書面の添付が必要となる。

第9 法定相続情報に変更が生じたとして再度の申出があった場合

Q95 再度の申出における添付書面は、当初の申出と同様に、規則第247条第3項各号に掲げられる書面が必要か。

A95 必要となる。

第10 連名による申出について

Q96 申出人を複数の相続人とする、いわゆる連名による申出はできるか。その場合、申出書の提供・記載はどのようにするのか。

A96 できる。その場合、申出書に別紙を付ける等により、申出人を列挙する方法による。

Q97 連名による申出において、申出人の住所地を管轄する登記所が申出人によって異なる場合は、申出人のいずれか一人の住所地を管轄とする登記所に申出することができるか。

A97 できる。

Q98 連名による申出の場合において、その申出を取りやめる場合は、連名の申出人の全員から行う必要があるか。

A98 全員から行う必要がある。

Q99 連名による申出において、連名の申出人のうちの一人が委任によって当該申出人の代理人を選任し、その代理人が他の申出人とともに申出をすることができるか。

A99 できる。

Q100 連名による申出において、施行通達第2の7(5)アによる申出書の「受取」欄への押印はどうするのか。

A100 連名の申出人のうちのいずれか一人がすれば足りる。

 

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