真正な登記名義の回復の登記とは?

2017/06/13

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ある不動産の登記簿(登記記録)に記載されている所有者は(A)だが、真実の所有者は(B)である。 登記簿上の所有者(A)を真実の所有者(B)名義に直したいとき、どのような手続きをとったらよいのでしょう?

 不動産登記法の理念から言えば(中間を省略した登記は許されない)、(A)の所有権登記を抹消したうえで、あらためて(B)の所有権登記をし直さなければなりなりません。

 具体的には、登記簿の記載上(A)が(C)から所有権移転登記を受けていたならば、(C)→(A)の所有権移転登記を抹消したうえで、(C)→(B)の所有権移転登記をするという手続きになります。つまり、正しかった時点まで遡って全てをやり直すのが本来の筋ということです。
 この一連の登記の手続きにおいては、(A)、(B)だけではなく、(C)の関与も必要となり、(C)には、実印、印鑑証明書、及び登記識別情報または登記済証((A)に所有権移転したときに効力がなくなったはずの!)等を用意してもらわなければなりません。※(C)に住所氏名等の変更があるときには、住所の変更証明書(住民票の写しや戸籍の附票等)も必要。(C)が健在ならばいいけれど、既に死亡していたら、その相続人全員も調べて連絡を取って、協力してもらわないといけません。
 また、(A)が所有者であるときに(D)が抵当権等の担保権の設定登記をしていれば、(C)→(A)の所有権移転登記を抹消する前提として、(D)の抵当権等の抹消登記もしくは抹消の承諾をしてもらわなくてはなりません。
 しかし、現実問題として、前所有権登記名義人(C)の協力や抵当権者(D)の承諾を得ることはほぼ無理です。
 そのときに脚光をあびるのが「真正な登記名義の回復」という所有権移転登記なのです。
 この「真正な登記名義の回復」登記は、誤った所有権登記を抹消して正しい所有権登記を入れ直すのではなく、誤った所有権の登記名義人から正しい登記名義人へ直接「移転登記」をするという方法により正しい登記名義を実現するという方法です。

正規の方法: 第一段階(A)→(C) ★(A)名義の所有権抹消をして(C)名義の所有権を復活
       第二段階(C)→(B)

真正な登記名義の回復:(A)→(B)

 誤った所有権の登記を前提として直接移転登記をすることになるため、担保権を抹消する必要もなく(担保権がついたまま所有権が移転する)、(C)と(B)のみで登記申請を行うができます。
 ただし、不動産登記法の理念に反する例外ともいえる登記なので、安易にこの登記を認めるべきではないともいえます。安易にこの登記を認めれば、虚偽の登記名義人が登記されることを助長することにもつながりかねないので、実務では、この登記には下記の三点の要件が必要であると考えられています。(1)現在の登記名義人(A)は真実の所有者ではなく、その登記が実体とはあっていないこと。
(2)(B)が真実の所有者であること。
(3)真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記をする必要があること。
   ①前所有者(C)の協力が得られないこと。
   ②担保権者(D)の協力が得られないこと。
 ※①だけで良いという見解、①②の両方が必要だという見解、①②の理由だけでなく、(C)(D)の協力を判決によって得るには時間的な余裕がない等の具体的理由(下記Ⅲの()部分)が必要であるとの見解があります。

[登記原因証明の記載例]

Ⅰ 本件不動産につき、平成○年○月○日売買を原因として、CからAへの所有権移転登記がされている。(○年○月○日△法務局△出張所受付第□号)

Ⅱ しかし、上記Ⅰの所有権移転は、誤って関係書類を作成したものであり、実際はCB間において平成○年○月○日売買契約を締結し,これに基づきBがCから本件不動産の所有権を取得したものである。

Ⅲ 本来、CからAへの所有権移転登記を抹消し、CからBへの所有権移転登記を行うべきところ、本件不動産には、●銀行名義の抵当権が設定されており、Aの所有権登記の抹消についての●銀行の協力が得られない。(また、●銀行の協力を待っていてはBの資金繰上問題が生ずることになる。)

Ⅳ よって、当事者は、真正な登記名義の回復を原因として、AからBへの所有権移転の登記を申請をする。

 

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