法人登記申請事務における留意点
法人登記申請事務における留意点
【東京法務局との実務協議より】
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1 登記手続に関するもの
(1) 監査役の監査の範囲について,会計限定の登記をしている会社が,監査役設置の旨の廃止と監査役退任の登記を申請する場合,会計限定の登記は職権で抹消しないため,必ずその廃止の登記の申請が必要。その際,委任状にその旨の記載が必要になる。
(2) 一般社団法人及び一般財団法人の理事会議事録における「出席理事」の氏名を忘れずに記載すること(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則第15条第3項第6号)。
(3) 投資事業有限責任組合法人(LPS)の清算結了登記に添付する「総組合員が作成した書面」とは,組合財産の処分が完了したことを証する各組合員が署名又は記名押印した書面となるので,例えば,清算人から各組合員に通知したことに対し,異議がなかった旨の書面では足りない。なお, 一部の組合員からの承認がやむを得ない事情で取得できないような場合は,事案ごとに管轄登記所に相談を要す。
2 登記申請に関するもの
(1) 登記すべき事項に従った記載をして登記が完了した場合,添付書面が正しいとしても,これにより職権更正はできないので,申請前の確認を十分にすること。
(2) オンライン申請の登記すべき事項には,役員の氏と名との間,項目名の「」(かぎ括弧)の前などに空白を入れないこと(空白は削除しなければならず,事件処理の支障となるため)。また,項目名は正しく入力のこと。
(3) オンライン申請での管轄外への本店移転登記を申請する場合,必ず申請の形態を「連続」で入力すること(経由事件にできないため)。
(4) 法人登記の役員変更登記申請の際,役員の人数が多いときは,添付書類中, 選任された役員・就任を承諾した役員の記載の順番を,登記されている順番又は登記すべき事項に記載されている順番のいずれかで統一すること。
3 印鑑届・印鑑カードに関するもの
(1) 印鑑の提出に当たり,印影は鮮明に(ゴミづまり,ムラなどがないように) 押印すること。
(2) 印鑑届書中,印鑑カードの引継ぎのチェックとカード番号は必ず記載していただきたい。また,印鑑届を代理人が申請する場合,届出人の印の欄には代理人の押印を忘れないこと。
4 登記相談等に関するもの
(1) 相談は書面(登記相談票)で提出すること。
(2) 登記相談票は,疑問点を明確にし,根拠条文や資料となる文献等の写しを添付のこと。また,登記相談票の提出方法は,窓口提出又は郵送提出が原則であるが,ファクシミリ提出については,特にこれを認めている登記所のみの取扱いであるので,留意のこと。
(3) 司法書士,補助者,事務担当者による電話相談の利用は不可。
(4) 事前に登記相談をしていた場合,相談済みであることを申請書に直接書き込むこと(例えば「相談番号29-00」,「〇〇様に相談済み」など。特にオンライン申請情報)はせずに,付箋等にメモ書きして貼付すること。
5 その他
(1) 印影を照合すべき書面を原本還付請求する際,等倍により(PDFにすると等倍で印刷されない場合がある。),かつ,印影が照合しやすいように濃い目にコピーをしていただきたい。また,コンビニ発行の印鑑証明書を原本還付する際には,表面・裏面の双方のコピーを添付のこと。
(2) オンライン申請の別送による添付書類の内訳表には,申請番号ではなく受付番号及び受付日を記入のこと。
(3) オンライン申請の際にも,必ず代理人の連絡先電話番号を記載すること。
(4) 印紙は,可能な限り台紙の右側(申請書のつづりと反対側)に貼付すること。
(5) 登録免許税が高額なものは,印紙を登記申請書に貼付するのでなく,日銀等からの領収書を貼付すること。
(6) オンライン申請における登録免許税の納付は,電子納付とすること。