登記義務者から弁護士に対し、不動産について「不動産売買契約の締結」の委任がされている場合において、登記義務者の代理人である弁護士は、報告形式の登記原因証明情報の作成名義人となることができる
代理人による登記原因証明情報作成の可否について
(要旨)登記義務者から弁護士に対し、不動産について「不動産売買契約の締結」の委任がされている場合において、登記義務者の代理人である弁護士は、報告形式の登記原因証明情報の作成名義人となることができる。
(問題)登記義務者から弁護士に対し、不動産について、①不動産売買契約の締結、②売買代金の受領、③登記原因証明情報の作成の委任がされている場合において、登記義務者の代理人である弁護士は、報告形式の登記原因証明情報の作成名義人となることができるでしょうか(登記義務者に代わって登記原因証明情報に記名押印する)。
(協議結果)登記原因証明情報の作成名義人となることができると考えられます(登記原因の実体に代理人が関与している)。
(解説)本件の場合は、委任状に「不動産売買契約締結の件」が委任事項とされているので、代理人である弁護士は、当該不動産の売買契約について代理権限を有し、売買契約締結のために売買契約書の作成をはじめとする種々の行為をすることができるのであり、報告形式の登記原因証明情報についても作成し、その作成名義人になることができると考えられます。なお、「登記原因証明情報の作成の件」のみの委任があった場合は、報告的な登記原因証明情報の作成をすることはできますが、作成名義人となることはできないと考えられます。また、一般的に司法書士に対する「登記申請に関する一切の件」とする委任事項は、法務局に提出する書類の作成に関する委任であって、実体的な不動産の売買契約の締結に関する委任ではないので、登記原因証明情報の作成名義人となることはできないと考えられます。
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