根抵当権の債務者に相続発生し債務引受-1(確定前)

2015/03/26


根抵当権の債務者が死亡して、元本が確定する前に、相続人の一人が他の共同相続人の債務を引受けた場合の登記

★元本確定の場合
 ⇒ 根抵当権の債務者に相続発生し債務引受-2(確定後)
★元本確定・複数債務者のうち1名死亡の場合
 ⇒ 根抵当権の債務者に相続発生し債務引受-3(確定前・複数債務者のうち1人が死亡)


[前提条件]

 ・元本が確定(債務者死亡後6か月以内
 ・根抵当権者甲、亡債務者乙、法定相続人A、B及びC
 ・Aを指定債務者
 ・Aが、B及びCの債務を免責的に引き受け
  (相続による所有権
移転登記はA単独所有名義で完了)

[必要な登記]

 (1)根抵当権の債務者を法定相続人に変更する登記
 (2)根抵当権の債務者の指定債務者の合意の登記
 (3)根抵当権の債務者の変更及び債権の範囲の変更の登記

定債務者の合意の登記
 指定債務者をAにすると、合意以後は、相続開始時の債務と甲A間の取引で生じた債務のみが被担保債務となる。相続開始時の債務とは、相続により乙からABCへ分割承継された債務であるところ、Aが承継した債務は担保されているが、AがBCから引受けた債務については、被担保債務の範囲から外れてしまう。AB間、AC間の債務引受という新たな法律行為により発生した債務なので、被担保債務の範囲には入らないのである。

債務者の変更登記
 AがBCの債務を免責的に引受け、BCが債務者でなくなったことを積極的に公示するために、指定債務者Aから債務者Aに変更する。指定債務者Aと変更後の債務者Aは同一人であるが、指定債務者Aとは乙→相続人ABC→指定債務者Aが一体として債務者の表示を構成しているのであって、この債務者変更は交替的な変更ということになり、従前の債務者の表示は全て朱末する。
 また、この変更により、相続開始時の債務(Aが乙から承継した債務)が被担保債務の範囲から外れてしまう。指定債務者Aの被担保債務の範囲とは、乙→ABC→Aの一体でその範囲を画しているのであって、変更後の債務者Aの被担保債務の範囲とは異なるからである。

債権の範囲の変更登記
 AがBCから引受けた債務については、被担保債務の範囲から外れてしまっているので、「年月日債務引受(旧債務者B、C)にかかる債権」として、特定債権を追加する。
 Aが乙から承継した債務についても、被担保債務の範囲から外れてしまっているので、「年月日相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権」として、同様に特定債権を追加する。

※2018年5月2日加筆修正

※他に、根抵当権者について商号変更、本店移転、合併などなされている場合は、その旨の登記を上記の前提登記として行っておく必要がある。


[申請書書式]

(1)根抵当権の債務者を法定相続人に変更する登記

       登 記 申 請 書

登記の目的  根抵当権変更
原因     平成○年○月○○日 相続
変更すべき登記
       平成○年○○月○○日受付第○○○○○号
変更後の事項 債務者(被相続人 乙)
       A
       B
       C
権利者    甲
義務者    A
添付書面   原因証明情報  登記済証  印鑑証明書  代理権限証書  資格証明書


(2)根抵当権の債務者の指定債務者の合意の登記

       登 記 申 請 書

登記の目的  根抵当権変更
原因     平成○○年○○月○○日 合意
変更すべき登記
       平成○年○○月○○日受付第○○○○○号
指定債務者  A
権利者    甲
義務者    A
添付書面   原因証明情報  登記済証   印鑑証明書  代理権限証書  資格証明書


(3)根抵当権の債務者及び債権の範囲の変更の登記

       登 記 申 請 書

登記の目的  根抵当権変更
原因     平成○○年○○月○○日 変更
変更すべき登記
       平成○年○○月○○日受付第○○○○○号
変更後の事項 債務者
       A
       債権の範囲
       銀行取引 手形債権 小切手債権
       平成○○年○○月○○日債務引受(旧債務者B、C)にかかる債権
       平成○○年○月○○日相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の
       被担保債権の範囲に属するものにかかる債権
権利者    甲
義務者    A 
添付書面   原因証明情報  登記済証   印鑑証明書  代理権限証書  資格証明書

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