連帯債務者の一人が死亡したときの登記-3-
連帯債務者の一人が死亡したときの登記-1-
連帯債務者の一人が死亡したときの登記-2-からの続きです
ねぇ、よっしー。このまえの続きなんだけど?
と、とうこちゃん、もう「よっしー」でいいヨ。
連帯債務者甲の債務は甲の法定相続人のうちのAが引き受けて、連帯債務者乙の債務は乙の相続人ではないFが引き受けるという案件で、Fの免責的債務引き受けの前に乙の債務者全員が重畳的債務引き受けっていうやつね。
1 | 抵当権設定 | 原因 年月日金銭消費貸借同日設定 債権額 1億円 利息 〇% 損害金 〇% 連帯債務者 甲 乙 抵当権者 住宅金融支援機構 |
付記1号 | 1番抵当権変更 | 原因 年月日連帯債務者甲の相続 (この時点での債務者は、「連帯債務者 A・B・C・乙」。ABCは自己の負担割合で乙と連帯。) |
付記2号 | 1番抵当権変更 | 原因 年月日連帯債務者B、Cの債務引受 (この時点での債務者は、「連帯債務者 A・乙」。) |
付記3号 | 1番抵当権変更 | 原因 年月日連帯債務者乙の相続 (この時点での債務者は、「連帯債務者 A・D・E」。DEは自己の負担割合でAと連帯。) |
付記4号 | 1番抵当権変更 | 原因 年月日連帯債務者DはEの重畳的債務引受、連帯債務者EはDの重畳的債務引受 (この時点での債務者は、「連帯債務者 A・D・E」。A・D・Eは各々連帯。) |
付記5号 | 1番抵当権変更 | 原因 年月日D、Eの免責的債務引受 (債務者は、「連帯債務者 A・F」。) |
この付記4号での重畳的債務引受って何のために必要なのかしら?
一連の登記申請手続きをするうえで絶対に必要な登記かな?
入れなくてもいいと思うわ。
登記法の要請でないとすれば…
ないとすれば…抵当権者の要請ってこと?
そうなんだよ。
もし法定相続人ではないFが登場しなければ、普通は、Aみたいに相続人のうちの一人が債務を引き受けるか、相続人全員もしくは何人かが債務を引き受けるかのどちらかだよね?
そして複数の相続人を債務者とするときは銀行業務では連帯債務とするんだよ。
そっか、たまたま今回は連件で申請するから、重畳的債務引き受けって要らねんじゃネ?って思ったけど。Fが1年後に出てくると思えばわかるわ。
わかってくれたかな?
ボクたちは、ついついこちら側つまり登記法の論理だけで考えてしまいがちなんだけど、まずは依頼人がどんな理由でどんな登記の結果を望んでいるかってことを聞かないといけないってことなんだよ。
よっしーもたまにはいいこと言うわね。
ちなみに、この前、遺産分割を原因として直接債務者を変更する登記はしないって言ったけど、実は実際に銀行の案件でやったこともあるんだ。この時は、法定相続人の一人がどうしても債務引き受けの契約をしたくないって言い張ってね。
それでよっしーが入れ知恵をして遺産分割協議を勧めたってことね。
まっまあ、そんなとこかな。
さてと、それでは柴犬の散歩に行かないと….
きさま、それしかやることないのかよ?
きっ、貴様っ-?