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表題部所有者不明士地の登記及び管理の適正化に関する法律等の施行に伴う不動産登記事務の取扱い

2020/11/09

法務省民二第796号
令和2年10月30日

表題部所有者不明士地の登記及び管理の適正化に関する法律等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)

 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(令和元年法律第15号。以下「法」という。)の第3章から第5章までの規定及び表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和2年法務省令第49号。以下「改正省令」という。)が本年11月1日から施行されますが,これらに伴う不動産登記事務の取扱いについては,下記の点に留意し,事務処理に遺憾のないよう,貴管下登記官に周知方お取り計らい願います。
なお,本通達中,「不登法」とあるのは不動産登記法(平成16年法律第123号)を,「施行規則」とあるのは改正省令による改正後の表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律施行規則(令和元年法務省令第42号)をそれぞれいいます。
また,本通達に抵触する従前の取扱いは,この通達により変更したものとします。

第1  特定不能土地等管理命令等の登記嘱託

1 特定不能土地等管理命令等及び同命令の取消し

(1)裁判所は,所有者等特定不能土地について,必要があると認めるときは,利害関係人の申立てにより,その申立てに係る所有者等特定不能土地を対象として,特定不能土地等管理者による管理を命ずる処分(以下「特定不能士地等管理命令」という。)をすることができるとされた(法第19条第1項)。この場合,裁判所は,当該特定不能土地等管理命令において,特定不能土地等管理者を選任しなければならないこととされた(法第20条第1項)。特定不能土地等管理命令があった場合には,裁判所書記官は,職権で,遅滞なく,特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地について,特定不能土地等管理命令の登記を嘱託しなければならないとされた(同条第3項)。
裁判所は,特定不能士地等管理命令を変更し,又は取り消すことができるとされた(法第19条第3項)。また,一定の事由が生じた場合には,裁判所は,特定不能土地等管理命令を取り消さなければならないとされた(法第29条第1項及び第2項)。特定不能士地等管理命令を取り消す裁判があったときは,裁判所書記官は,職権で,遅滞なく,特定不能土地等管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならないとされた(法第20条第4項)。
裁判所は,特定社団等帰属土地について,当該特定社団等帰属土地が帰属する法人でない社団等の代表者又は管理人が選任されておらず,かつ,当該法人でない社団等の全ての構成員を特定することができず,又はその所在が明らかでない場合において,必要があると認めるときは,利害関係人の申立てにより,その申立てに係る特定社団等帰属土地を対象として,特定社団等帰属土地等管理者による管理を命ずる処分(以下「特定社団等帰属土地等管理命令」という。)をすることができるとされた(法第30条第1項)。法第3章(法第19条第1項を除く。)の規定は,特定社団等帰属土地等管理命令について準用するとされた(法第30条第2項)。

(2)法第20条第3項又は第4項(これらの規定を法第30条第2項において準用する場合を含む。)の規定により登記記録として登記すべき事項は,表題部の所有者欄に記録するものとされた(施行規則第9条第1項)。
登記官は,法第20条第3項(法第30条第2項において準用する場合を含む。)の規定により嘱託があった場合において,当該嘱託に基づく登記をするときは,当該登記の登記原因及びその日付並びに登記の年月日のほか,登記の目的並びに特定不能土地等管理者又は特定社団等帰属土地等管理者(以下「特定不能土地等管理者等」という。)の職名及び氏名又は名称並びに住所をも記録しなければならないとされた(施行規則第9条第5項)。
登記官は,法第20条第4項(法第30条第2項において準用する場合を含む。)の規定により嘱託があった場合において,当該嘱託に基づく登記の抹消をするときは,当該抹消の登記の登記原因及びその日付並びに登記の年月日のほか,登記の目的を記録するとともに,抹消すべき登記を抹消する記号をも記録しなければならないとされた(施行規則第9条第6項)。

(3)上記(2)における登記の記録例は,別紙のとおりとする。

2 特定不能土地等管理者等の辞任等に伴う登記嘱託

(1) 特定不能土地等管理者等は,正当な事由があるときは,裁判所の許可を得て,辞任することができるとされた(法第25条第1項。法第30条第2項において準用する場合を含む。)。
特定不能土地等管理者等がその任務に違反して特定不能土地等管理命令又は特定社団等帰属土地等管理命令(以下「特定不能士地等管理命令等」という。)の対象とされた所有者等特定不能土地等又は特定社団等帰属土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは,裁判所は,利害関係人の申立てにより,特定不能土地等管理者等を解任することができるとされた(法第26条第1項。法第30条第2項において準用する場合を含む。)。
特定不能土地等管理者等の辞任又は解任があった場合,法第20条第3項及び第4項の規定に準じて裁判所書記官から登記の嘱託がされることになると考えられる。

(2)表題部所有者不明土地の複数の所有者等に係る共有持分について特定不能土地等管理命令等が発せられていたところ,一部の所有者等を特定することができたために特定不能土地等管理命令等の対象となる共有持分を変更する場合や特定不能土地等管理者等の人数を事後的に増やす場合は,特定不能土地等管理命令等の変更(法第19条第3項。法第30条第2項において準用する場合を含む。)として取り扱うことになると考えられる。この場合も,法第20条第3項及び第4項の規定に準じて裁判所書記官から登記の嘱託がされることになると考えられる。

(3)上記(1)及び(2)における登記の記録例は,別紙のとおりとする。

第2 特定不能土地等管理者等の表示の変更等

1 特定不能土地等管理者等の表示の変更

 特定不能土地等管理者等の氏名若しくは名称又は住所について変更が生じた場合において,当該特定不能土地等管理者等から氏名又は住所について変更があったことを証する市町村長(特別区の区長を含むものとし,地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては,区長又は総合区長とする。),登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては,これに代わるべき情報)を添付して特定不能土地等管理者等の住所又は氏名の変更の登記の申出があったときは,登記官は,職権で,特定不能士地等管理者等の住所又は氏名の変更の登記を実行して差し支えないものとする(不登法第28条)。

2 特定不能土地等管理命令等の対象となる共有持分の変更の登記等

 第1の2(2)の一部の所有者等を特定することができた場合において特定不能土地等管理命令等の対象となる共有持分を変更するために裁判所から特定不能土地等管理命令等の変更の登記の嘱託がされるとともに,当該特定不能土地等管理者等から,一部の所有権を証する情報を添付して当該一部の所有者等を表題部所有者とする登記の申出があったときは,登記官は,特定不能土地等管理命令等の変更の登記を実行するとともに,当該一部の所有者等を表題部所有者とする登記を実行して差し支えないものとする(同条)。

3 上記1及び2の場合の登記の記録例は,別紙のとおりとする。

第3 所有者特定書の閲覧の請求

 表題部所有者の登記等がされた後,所有者特定書(更正書を含む。以下同じ。)は,登記簿の附属書類として,不登法第121条第2項に基づく閲覧の請求の対象となる。
閲覧を請求することができる者としては,表題部所有者として登記された者,その相続人その他の一般承継人のほか,特定不能土地等管理命令等の申立てをする利害関係人及び所有者等特定不能土地の所有権を主張する者並びに特定不能土地等管理者等などが考えられる。これらの場合において,不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第193条第3項に規定する利害関係がある理由を証する書面としては,次に掲げる者については,それぞれ定めるものが考えられる。これらの者から,所有者特定書の閲覧の請求がされた場合には,登記官は,所有者特定書(書面をもって所有者特定書が作成されたときは,施行規則第13条第2項の規定により当該書面に記載された情報の内容を記録した電磁的記録)に記録された情報の内容を書面に出力して表示するものとする(不動産登記規則第202条第2項)。

  1. 表題部所有者として登記された者 本人であることを証する情報
  2. 1の相続人その他の一般承継人  相続その他の一般承継により当該表題部所有者の地位を承継したことを証する情報
  3. 特定不能土地等管理命令等の申立てをする利害関係人 当該利害関係を証する情報
  4. 所有者等特定不能土地の所有権を主張する者         所有者等特定不能土地の所有権を主張していることを証する情報
  5. 特定不能土地等管理者等 本人であることを証する情報

第4   所有権の保存の登記等

1 法による所有者の探索の結果,表題部所有者不明土地に表題部所有者として登記すべき者がない旨が登記されている場合には,真の所有者は,その状態を是正することを目的として,自身を表題部所有者とする登記を申請することができ, さらに,当該土地につき所有権の保存の登記の申請をすることができると考えられる(最判平成23年6月3日集民237号9頁参照)。
特定不能土地等管理者等と第三者との間で売買契約が成立した場合及び時効取得を主張する者(以下「時効取得者」という。)が時効取得した場合の表題登記及び所有権の保存の登記の取扱いについては,以下のとおりとする。

2 特定不能土地等管理者等と第三者との間で売買契約が成立し,当該第三者から自己を表題部所有者とする表題登記(不登法第36条)及び自己を登記名義人とする所有権の保存の登記の申請(不登法第74条第1項第1号)があった場合において,不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の4の項添付情報欄ハの表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報として,売買契約書(特定不能土地等管理者の印鑑証明書等の当該書面の真正を証するに足りる情報を含む。)及び特定不能土地等管理者等の要許可行為についての許可の裁判書が提供されたときは,登記官は,当該第三者を表題部所有者とする登記をした上で,当該所有権の保存の登記を実行する。

3 特定不能土地等管理者等と時効取得者との間で当該時効取得者を所有者とする協議が成立した場合又は特定不能土地等管理者等を被告として所有権確認訴訟を提起し勝訴判決を得た場合であって,時効取得者から自己を表題部所有者とする表題登記及び自己を登記名義人とする所有権の保存の登記の申請があったときは,不動産登記令別表の4の項添付情報欄ハの表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報として,時効取得者を所有者とする特定不能土地等管理者等と時効取得者との協議書(特定不能土地等管理者等の印鑑証明書等の当該書面の真正を証するに足りる'「青報を含む。)又は所有権確認訴訟の勝訴判決書及び確定証明書が提供されたときは,登記官は,特定不能土地等管理者等を表題部所有者とする登記をした上で,当該所有権の保存の登記を実行する。

4 上記2及び3の所有権の保存の登記を実行した後に,特定不能土地等管理命令等を取り消す裁判があったときは,裁判所書記官は,職権で,遅滞なく,特定不能土地等管理命令等の登記の抹消を嘱託しなければならないことから(法第20条第4項。法第30条第2項において準用する場合を含む。),登記官は,当該抹消の嘱託に基づきその抹消の登記を実行するものとする。

5 上記2から4までの場合における登記の記録例は,別紙のとおりとする。


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