後見事務を行うに当たっての留意点(東京家裁)
- 1. 後見事務を行うに当たっての留意点(東京家庭裁判所・立川支部)
- 1.1. 1 裁判所に報告や連絡があるときは、連絡票に記載して提出する
- 1.2. 2 裁判所に提出する書面には、事件番号を記載する
- 1.3. 3 財産目録や報告書の日付や期間は、同じ日に統一して記載する
- 1.4. 4 収支状況報告書には、全ての収入と支出を、種類ごとに分けて記載する
- 1.5. 5 本人・成年後見人の住所が変わったときは、裁判所と法務局の両方に連絡・申請をする
- 1.6. 6 現金を管理する場合は、金銭出納帳を作成する
- 1.7. 7 本人が親族に贈与等をする場合は、予め裁判所に報告する
- 1.8. 8 成年後見人が本人と遺産分割をするときは、特別代理人等の選任申立てをする
- 1.9. 9 本人が亡くなったときは、速やかに裁判所に報告し、必要な手続をする
- 1.10. 関連する記事
後見事務を行うに当たっての留意点(東京家庭裁判所・立川支部)
1 裁判所に報告や連絡があるときは、連絡票に記載して提出する
・本人の状況や財産に大きな変化があった場合など、裁判所に報告や連絡があるときは、できる限りその内容が明確になるように、連絡票に記載して提出。
2 裁判所に提出する書面には、事件番号を記載する
・裁判所に書面を提出する際は、後見開始の審判書に記載された事件番号を記載。(例:基本事件番号 令和3年(家)第00000号)
3 財産目録や報告書の日付や期間は、同じ日に統一して記載する
・裁判所に報告する際に作成する財産目録や報告書は、その報告の対象となる期間内の財産等の状況を把握するためのものなので、財産目録の基準日と、後見等事務報告書・
収支状況報告書の報告期間最終日は、同じ日に統一して記載。
記載例:財産目録(令和3年1月31日現在)・後見等事務報告書(報告期間:令和2年2月1日~令和3年1月31日)
4 収支状況報告書には、全ての収入と支出を、種類ごとに分けて記載する
・収支状況報告書は、報告の対象となる期間内の収入・支出を把握し、収支が適切であることを確かめるための書類なので、期間内の収入・支出は,その種類ごと(定期
収入・定期支出など)に分けて、親族の援助や立替金も含めて全て記載。
また、定期収入・定期支出に変化があったときは、変化があった期間について報告する際の後見等事務報告書に記載する。
5 本人・成年後見人の住所が変わったときは、裁判所と法務局の両方に連絡・申請をする
・本人・成年後見人の住所に変更があったときは、裁判所に住民票を添付して連絡票を提出。また、本人・成年後見人の住所は登記にも記載される事項なので、東京法務局にも変更登記の申請が必要。
6 現金を管理する場合は、金銭出納帳を作成する
・本人の現金を手元で管理する場合は、収支の年月日・理由・内容と現金残高を記載した現金出納帳を作成する。必要に応じて裁判所に提出してもらうことがある。
7 本人が親族に贈与等をする場合は、予め裁判所に報告する
・本人が第三者(親族,成年後見人も含む)に対して、金銭を贈与したり、不動産や 金銭を貸したり、保証人になるようなことは原則として認められないが、どうしても必要と考える場合は、予め裁判所に報告。
8 成年後見人が本人と遺産分割をするときは、特別代理人等の選任申立てをする
・本人と成年後見人が相続人になっている遺産分割をする場合など、本人と成年後見人の利益が相反するときは、成年後見人が本人を代表することができないので、特別代理人(保佐・補助の場合は臨時保佐人・臨時補助人)の選任申立てが必要。
法定相続分のとおりに分割する場合のように、一見すると本人に不利益がないように見えるときでも、本当に本人の利益が損なわれていないか確認する必要があるので、この申立てが必要。ただし、監督人がいる場合は不要。
9 本人が亡くなったときは、速やかに裁判所に報告し、必要な手続をする
[すぐにやるべきこと]
・裁判所に、死亡診断書(又は除籍謄本)のコピーと連絡票を提出する(2週間以内)。死亡診断書等をすぐに提出できない場合は、まず連絡票を提出。
・法務局に、後見終了登記の申請。
・火葬やその費用の払戻しをする場合は、裁判所の許可を得て行う。
保佐・補助の場合は許可不要。
親族が葬儀を主宰する場合は許可不要(その場合、葬儀費用は喪主の負担となるので、その後に精算する場合は相続人で協議。)。
[その次にやるべきこと]
・後見事務費用を精算するなどして、引き継ぐ相続財産を確定する(2か月以内)。
・相続人に相続財産を引き継いで引継書を受領し、裁判所に提出する(6か月以内)。成年後見人が相続人の場合は不要。
引継ぎが難しい場合は、その旨を裁判所に報告。