この自筆証書遺言で、登記申請できる?-1-
平成某年8月某日、梅雨が明けたばかりの真夏日。
一件の電話。
以前、新築建物の登記をしてもらった××ですが、父が亡くなりまして。
つきましては、相続登記をお願いしたいんです。
それはご愁傷さまでした。
その節はお世話になりました。
相続登記はもちろん、お受けいたします。
実は、遺言書があるんです。
公正証書ですか?
いえ、自筆証書なんですよ、妹が持っています。
検認手続きはされました?
まだなので、そこからアドバイスをいただきたいのです。
・・・
後日、またまた真夏日の昼下がり、駅から少し距離がある依頼者宅へ。
全身から流れる汗のうち額の部分だけをハンカチで拭いながら、遺言書の現物を確認させていただいた。
開封されていない長4サイズの茶封筒。
封筒の表面には、筆ペンで「遺言書在中」。
裏面には封緘の「〆」と氏名。
いずれも本人の直筆らしいとのこと。
・・・
相続書類の収集、法定相続人のスケジュールの調整等に少々時間を費やし、半年後。
テレビのニュースキャスターは今朝は今年一番の冷え込みと伝えています。
いよいよ家庭裁判所での遺言書の検認手続期日。
封筒から出てきたのが、この遺言書です。
やっと目にすることができました。
遺言の事
1.○○夕義の不動土地は長男△△に渡します
1 その他の事 物品及金等は長男△△と長女□□で二分して下さい平成●年●月●日
安倍 〇○ ㊞
B5サイズの縦罫線入りの便箋一枚。
内容は、原文そのままですが、実際は縦書きで筆ペン使用、達筆ではありますが読みやすい字体でした。(名字は仮名です)
想像以上のあっさりした遺言書。
この遺言書で登記申請できるだろうか?
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