戸主が、新民法施行前に死亡して、相続人の選定をしていない場合

2019/01/31

【登記研究】10号

新民法附則25条2項の適用

要旨 新民法附則25条2項本文の規定により、単独戸主甲(死亡後相続人の選定なく、又直系尊属及び配偶者ともにない。)の死亡により開始した相続については、実兄乙(甲の死亡後に死亡)の嫡孫は、代襲相続に準じて相続する。

問  単独戸主甲(分家)昭和20年6月29日死亡後相続人の選定をしていない場合、直系尊属及配偶者共に無く、昭和21年10月14日死亡した実兄乙(本家戸主)及乙の嫡孫(実父は昭和19年2月29日死亡)丙、丁、戊等現存の戸籍において右嫡孫等に相続権がありや、否やについて左記両説が生じましたので、何分の御指示を煩し度く御伺い申上げます。
(1) 新民法附則25条2項の規定によって、嫡孫に代襲相続権がある。
(2) 実兄の死亡が応急措置法施行前であるから代襲相続権はない。

答  新民法附則25条2項本文の規定によって、乙の嫡孫がいわゆる代襲相続に準じて相続をする。
(理由)単独戸主甲は、昭和20年6月29日死亡しているので、旧民法によれば家督相続人の選定をしなければならないのであるが、これを選定していないのであるから、その相続に関しては新民法附則25条2項本文の規定により新法を適用することとなるところ、右により新法を適用するというのは、新法施行の日、すなわち昭和23年1月1日現在においてこれを適用すべきものである。したがって、右戸主甲の相続開始の当時に直系尊属及び配偶者がなく、実兄乙だけがあったとすれば新法889条1項2号の規定により乙において相続すべきところ、乙は新法施行の当時には死亡(昭和21年10月14日死亡)しているのであるから、新法888条1項の規定により乙の子の直系卑属すなわち乙の嫡孫丙丁戊等において、いわゆる代襲相続に準じて相続をすることとなる。よって、右による相続登記の登記原因及びその日付は「昭和20年6月29日相続」、登記の目的は、「(嫡孫丙丁戊等の相続による)所有権移転の登記」となる。

民法 附則(昭和22年12月22日法律第222号)
第二十五条 応急措置法施行前に開始した相続に関しては、第二項の場合を除いて、なお、旧法を適用する。
○2 応急措置法施行前に家督相続が開始し、新法施行後に旧法によれば家督相続人を選定しなければならない場合には、その相続に関しては、新法を適用する。但し、その相続の開始が入夫婚姻の取消、入夫の離婚又は養子縁組の取消によるときは、その相続は、財産の相続に関しては開始しなかつたものとみなし、第二十八条の規定を準用する。

関連する記事 

Posted by 4430