租税特別措置法第84条の2の3第2項の規定の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて
租税特別措置法第84条の2の3第2項の規定の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通知)
所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号。以下「改正法」という。)により新設された租税特別措置法(昭和32年法律第26号。以下「法」という。)第84条の2の3第2項の規定が所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号。以下「特措法」という。)の施行日である本月15日から施行されますが,これに伴う不動産登記事務の取扱いについては,下記の事項に留意するよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
記
1 相続に係る所有権の移転登記の免税措置(法第84条の2の3第2項関係)の概要
個人が特措法の施行の日から平成33年3月31日までの間に,土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において,当該土地が相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり,かつ,当該土地の当該登記に係る登録免許税法(昭和42年法律第35号)第10条第1項の課税標準たる不動産の価額が10万円以下であるときは,当該土地の相続による所有権の移転の登記については,登録免許税を課さないこととされた(法第84条の2の3第2項)。
2 相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものについて
「相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるもの」とは,都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する土地以外の土地のうち特措法第3条第1項に規定する基本方針(以下「基本方針」という。)に定める同条第2項第4号に掲げる事項に基づいて市町村の行政目的のため相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定するものとされるとともに,この指定をしたときは,告示することとされた(租税特別措置法施行令(昭和32年政令43号)第44条の2)。相続登記が未了のまま放置されれば,所有者不明土地となってしまい,公共事業の円滑な実施や農地の集約化のみならず,空き地対策,空き家対策,地域活性化など,市町村の様々な行政目的の円滑な実施に悪影響を与えることから,幅広い土地を対象に相続登記の促進を図るため,登録免許税の免税措置に係る法務大臣の指定は,市町村からの申出を最大限に尊重して行うものとされた(「所有者不明土地の利用の円滑化及び土地の所有者の効果的な探索に関する基本的な方針」(平成30年法務省,国土交通省告示第2号)第4の2)。
これを受け,法務大臣は,本日,相続による土地の所有権の移転の登記を特に図る必要がある土地を指定した(平成30年法務省告示第370号)。
3 登記の申請情報の記載について
法第84条の2の3第2項の適用を受けようとするときの申請情報の記載は,例えば,登録免許税の欄に「租税特別措置法(又は昭和32年法律第26号)第84条の2の3第2項により非課税(あるいは,一部非課税)」などとする。
4 免税措置の適用を受ける際の証明書類について
上記3に従って法第84条の2の3第2項の適用を受けようとする土地の相続による所有権の移転の登記の申請があった場合には,同項の適用の有無は,法務大臣が指定した土地かどうかを登記官が確認することで足りることから,同項の適用を受けるための特段の証明書類は要しない。
〔平成 30 年 11 月 15 日付法務省民二第 611 号〕