産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通知)
産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通知)
〔令和3年6月 16 日付法務省民商第 103 号〕
産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号。以下「改正法」という。)の一部及び産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令(令和3年法務省·経済産業省令第1号。以下「省令」という。)が本年6月16日から施行されますので、これに伴う商業登記事務の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう、貴管下登記官に周知方取り計らい願います。なお、本通知中「法」とあるのは、改正法による改正後の産業競争力強化法(平成25年法律第98号)をいいます。
記
1 商業登記に係る法改正等の概要
法第66条第1項により、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社(以下「上場会社」という。)は、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることが株主の利益の確保に配慮しつつ産業競争力を強化することに資する場合として経済産業省令・法務省令で定める要件に該当することについて、経済産業省令・法務省令で定めるところにより、経済産業大臣及び法務大臣の確認(以下単に「確認」という。)を受けた場合には、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる旨を定款で定めることができることとされ、これに伴い、省令第1条及び第2条に、確認の要件及び確認申請等の方法がそれぞれ規定された。
また、改正法附則第3条第1項の規定に基づき、改正規定の施行の際現に上場会社である株式会社又は改正規定の施行の日から2年を経過する日までの間に上場会社となった株式会社が施行の日から2年を経過する日(令和5年6月16日。当該日までに上場会社でなくなった株式会社にあっては、上場会社でなくなった日。)までの間に確認を受けた場合は、これらの株式会社は、当該期間においては、その定款に場所の定めのない株主総会を開催できる旨の定めがあるものとみなすことができることとされた。
2 商業登記事務における留意点
⑴ 添付書面
場所の定めのない株主総会を開催する上場会社は、議事録を作成しなければならないとされたところ(法第66条第2項において読み替えて適用する会社法(平成17年法律第86号)第318条第1項)、場所の定めのない株主総会の議事録に特有の内容として、省令第5条第3項第1号の規定に基づき、株主総会を場所の定めのない株主総会とした旨及びその議事における情報の送受信に用いた通信の方法(障害に関する対策についての方針及びインターネットを使用することに支障のある株主の利益の確保に配感することについての方針に基づく対応の概要を含む。)を記載すべきこととされた。
登記の申請書に添付された株主総会の議事録にこのような記載があり、場所の定めのない株主総会が開催されたことが判明する場合には、場所の定めのない株主総会を開催できる旨の定めのある定款を添付しなければならない(商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第61条第1項)。なお、改正規定の施行の日から2年を経過する日までは、改正法附則第3条第1項の規定によって定款に当該定めがあるとみなされた会社については、定款に代えて、確認を受けたことを証する書面を添付することができるが、当該期間経過後は、当該期間中に場所の定めのない株主総会を開催した場合を除き、当該定めのある定款を添付しなければならない。
⑵ 上場会社であることの確認
場所の定めのない株主総会を開催することができる旨の定款の定めは、上場会社でなければ設けることができないところ、上場会社であることについては、登記記録等から登記の申請をした会社が非公開会社でないことを確認することをもって足りる。