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平成28年10月1日施行商業登記規則等の一部改正に関するQ&A

2017/06/10

目次

商業登記規則等の一部改正に関するQ&A(抜粋)

平成29年3月22日

日本司法書士会連合会
商業登記・企業法務対策部

[toc]

Q.1 どのような改正が行われましたか。

A.1
①登記申請書の附属書類の閲覧に際し,従前は,申請書に利害関係を明らか にする事由を記載するとされていたが,商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第21条が改正され,附属書類の閲覧の申請書に利害関係を証する書面の添付が求められることとなった。
また,登記申請書の附属書類の閲覧の申請人は,その住所及び閲覧する部分を記載することとされた。
②同規則第61条が改正され,登記すべき事項につき株主総会又は種類株主 総会の決議を要する場合には,真実でない登記の防止,事後的に決議の有効性等を検証可能とすること,法人の透明性を確保し,法人格の悪用を防止すること等を目的として,いわゆる株主リストの添付が求められることとなった。

Q.2 申請書類の閲覧の方法がどのように変わるのですか。

A.2 閲覧の方法は従来どおりである。申請書の附属書類の閲覧については, 従来から,利害関係を有する者が,登記官の面前(商業登記規則第32条第
1項)で,利害関係のある部分に限り閲覧(商業登記等事務取扱手続準則第
38条第3号参照)できるものと解されてきており,今回の改正は,この解釈が明文化されたものである。

Q.3 申請書類を閲覧するのに必要な書類は何ですか。

A.3 以下の①~④に掲げる書面である(商業登記規則第18条,第21条)。
① 以下のⅰ)~ⅷ)の事項が記載された閲覧申請書(申請書には,申請人又はその代表者若しくは代理人が署名し,又は押印しなければならない。)
ⅰ)申請人又はその代表者(当該代表者が法人である場合にあっては,その職を行うべきもの)若しくは代理人の氏名
ⅱ)申請人の住所
ⅲ)代理人によって請求する場合には代理人の住所
ⅳ)請求の目的
ⅴ)閲覧しようとする部分について利害関係を明らかにする事由
ⅵ)手数料の額
ⅶ)年月日
ⅷ)登記所の表示
② 申請人が法人であるときは,当該法人(当該登記所の管轄区域内に本店若しくは主たる事務所を有するもの又は会社法人等番号を記載したものを除く。) の代表者の資格を証する書面
③ 利害関係を証する書面
④ 代理人によって申請する場合には,代理人の権限を証する書面

Q.4 利害関係を証する書面は,コピーでもよいのですか。

A.4 利害関係を疎明できるものであれば,コピーでもよいと考えられる。

Q.5 申請書類の閲覧に費用はいくらかかりますか。

A.5 一事件に関する書類につき450円である(登記手数料令5条1項)。この手数料は,収入印紙を申請書に貼って納付することになる(商業登記法第13条第2項,商業登記規則第28条第1項)。

Q.6 申請書類を閲覧することができるのは誰ですか。

A.6 閲覧しようとする部分について利害関係を有する者(その代表者又は代理人を含む。)である(商業登記法第11条の2,商業登記規則第18条第2項)。

Q.7 利害関係がある場合とは,どのような場合ですか。

A.7 閲覧につき,法律上の利害関係がある場合である。法律上の利害関係と は,登記上の利害関係と異なり,例えば,株主又は債権者であることも利害 関係となり得る(味村治『新訂詳解商業登記』(上巻)175頁)。ただし, 株主又は債権者であれば附属書類の閲覧が認められることになるのではなく, 閲覧が認められるのは,閲覧する部分として特定した附属書類を閲覧するこ とについて利害関係を有する場合であることに注意を要する。
登記簿の附属書類の閲覧の申請書に記載すべき「利害関係を明らかにする事由」及び同申請書に添付すべき「利害関係を証する書面」について,利害関係が認められる範囲は申請ごとに個別に登記官が判断することになる。申請書類については従前から利害関係のある部分に限り閲覧できるものと解されており,今回の改正は,この解釈を明文上明らかにするものである。
登記簿の附属書類の閲覧の申請書に記載すべき「利害関係を明らかにする事由」は,閲覧しようとする部分として特定された添付書面を閲覧することについての利害関係を明らかにする事由が記載されていることを要するところ,たとえば取締役の解任の登記がなされている場合において,当該取締役であり,かつ,当該会社の主要な株主である者が,「閲覧しようとする部分」として「その解任について決議された株主総会の議事録」と特定してその閲覧を請求したときの利害関係を明らかにする事由としては,当該会社に対して当該株主総会の決議の有効性を争うための民事訴訟を提起するために,当該株主総会の開催の状況及び決議の状況等につき当該株主総会の議事録の記載内容を確認する必要があることなどが考えられる(平成28年6月23日付法務省民商第99号民事局商事課長依命通知)。

Q.8 閲覧することができる書類の範囲はどこまでですか。

A.8 申請人が利害関係を有する部分に限られる。利害関係が認められる範囲は申請ごとに個別に登記官が判断することになる。申請書類については従前から利害関係のある部分に限り閲覧できるものと解されており,今回の改正は,この解釈を明文上明らかにするものである。
例えば,会社法に基づき取締役個人に対する損害賠償請求の訴えを提起するにあたり,民事訴訟の訴状の送達先を把握する必要があるなどとして附属書類の閲覧が申請された場合において,取締役の住所が記載された附属書類として,取締役が就任を承諾したことを証する書面と取締役の本人確認証明書の双方につき閲覧の申請がされたときは,取締役が就任を承諾したことを証する書面の閲覧のみを許可し,当該取締役の本人確認証明書の閲覧には利害関係を有しないものと判断される(平成28年6月23日付法務省民商第99号民事局商事課長依命通知)。
なお,法務省は,申請書類ごとの利害関係を適切に判断するため,閲覧する部分として,「附属書類一式」といった記載は相当ではないと考えているようである。

Q.9 「株主リスト」の閲覧はどのような場合に認められますか。

A.9 例えば,株式会社の大株主が,自己に株主総会の招集通知が発せられないまま株主総会が開催されたとして株主総会決議の取消し又は不存在確認の訴えを提起するために,会社が自らを当該総会において議決権を行使できる株主であるとして「株主リスト」を登記所に提出しているか否かを確認するために閲覧を申請する場合等が想定される。
ただし,具体的な事案において,実際に閲覧が認められるか否かは,その事案ごとに利害関係の有無を登記官が審査した上で決することになるため,必ずしも閲覧が認められるものではない。

Q.10 申請書類の閲覧がされた場合,会社に対して通知等がされるのです か。

A.10 現時点では,株式会社に対して通知等がされることはない。

Q.11 「株主リスト」の添付が必要なのはどのような場合ですか。

A.11 商業登記申請の際に,登記すべき事項につき,➀株主又は種類株主全員の同意を要する場合。②株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合(会社法第319条第1項(同法第325条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があったものとみなされる場合を含む。)。に申請書に「株主リスト」を添付する必要がある。
なお,特定目的会社登記規則及び投資法人登記規則に本改正商業登記規則が準用されていることから,特定目的会社(資産の流動化に関する法律)及び投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)についても登記申請の際に同様の書面を添付する必要がある。

Q.12 「株主リスト」とはどのようなものですか。

A.12 商業登記申請の際に,登記すべき事項につき,➀株主又は種類株主全員の同意を要する場合,②株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合に,申請書に添付すべき,以下の事項を証明する書面である。

①株主又は種類株主全員の同意を要する場合
a.株主全員の同意を要する場合
証明書に記載すべき事項は,「株主全員の氏名又は名称」「住所」「各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数を含む。)」「議決権の数」である。
b.種類株主全員の同意を要する場合
当該種類株主全員について,上記 a.と同様の内容が証明書に記載すべき事項である。

<証明書の記載例>・・・別添「各種様式等」参照
※株主リストの書式は法定されたものではないが,法務省ホームページ
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html)にその記載例が公開されている。

②株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合
証明書に記載すべき株主は,株主全員である必要はなく,登記すべき事項について決議をした株主総会においての総株主(種類株主総会の決議を要する場合には,その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議において行使することができるものに限る。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であって,次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数でよい。
10名
その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し,その加算した割合が3分の2に達するまでの人数
なお,会社法第319条第1項(同法第325条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があったものとみなされる場合も同様である。

証明書に記載すべき事項は,株主の「氏名又は名称」「住所」「当該株主のそれぞれが有する株式数及び議決権数」「当該株主それぞれが有する議決権に係る当該割合」である。
議案に対する賛成の有無を記載するわけではない。

<証明書の記載例>・・・別添「各種様式等」参照
※法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html)にも公開されている。

Q.13 いつから適用されますか。

A.13 施行期日は平成28年10月1日とされている(商業登記規則等の一部を改正する省令附則1(平成28年4月20日付官報第6760号3頁))。同年10月3日申請分から適用となる。

Q.14 平成28年10月1日以前に決議された場合でも,「株主リスト」の添付は必要となりますか。

A.14 施行日以降になされた登記申請については,一律に同一の添付書面に基づき登記されることが相当であるとされ,経過措置は置かれていない。 この点は,商業登記規則等の一部を改正する省令附則2(平成28年4月20日付官報第6760号3頁において「この省令の施行前にした登記の申請については,この省令による改正後の商業登記規則第61条第2項又は第3項
(これらの規定を他の省令において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず, なお従前の例による」と記載されていることからも読み取ることができる。
そのため,例えば数年前に株主総会において決議がなされていたものの,登記を申請することを失念していた場合においても,株主リストの添付は必要となる。

Q.15 「株主名簿」と「株主リスト」は違うものですか。

A.15 今回改正の商業登記規則第61条2項及び3項における,いわゆる「株主リスト」とは,会社法第121条の「株主名簿」とは同一ではなく,「株主名簿」のうち主要な株主に関する情報が記載されたものであり,登記申請の添付書類として提出されるものである。
また,改正後の商業登記規則第61条第3項では「株主リスト」という文言が記載されているわけではない。
因みに,会社法第121条の「株主名簿」においては「株主の氏名又は名称及び住所」「保有する株式の数」「株式取得日」が記載事項であり,さらに株券発行会社の場合には「株券番号」も記載事項とされている。一方,株主リストには,「議決権の数」,「議決権割合」も記載事項とされており, その記載内容が異なる。

Q.16 議決権数の割合で上位10名を記載するとのことですが,議決権の第10位の者が複数名いる場合は,どのように記載するのですか。

A.16 議決権数第10位の株主全員の記載が必要となる。
保有議決権数が同数の株主が複数いる場合は,同順位株主全員を記載すべきであり,上位となる10名の株主が11名以上となる場合は,その11名以上の数の株主を記載することになる。

Q.17 「株主リスト」は,株式会社の上場・非上場を問わず,すべての株式会社に義務づけられるのですか。

A.17 上場・非上場を問わず,全ての会社に「株主リスト」が義務付けられている。なお,一定の要件を満たす場合は,有価証券報告書の大株主の状況欄や法人税の確定申告の際に作成する同族会社等の判定の明細書を添付した
「株主リスト」作成することができる。
*法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html)の「3 他の書面を利用した株主リスト」を参照。

Q.18 「株主リスト」に記載する株主は,いつの時点の株主ですか。

A.18 株主総会において議決権を行使することが出来る株主を記載すべきであり,基準日を定めた場合は基準日における株主を記載することになる。
基準日を定めなかった場合には株主総会当日の株主となる。

Q.19 株主の情報が把握できていないことがあった場合,「株主リスト」はどうすればよいですか。

A.19 「株主リスト」は,株主名簿の記載等により会社が把握している情報をもとに作成される。
法務省は,適法に株主総会が開催され,その旨の議事録が作成されていながら,「株主リスト」のみ作成できないという事態は想定し難いと考えているようであり,例えば,登記申請を懈怠していた事案において,株主総会時の株主が判明しないなどと記載した上申書を添付することによる救済措置は検討していないようである。
そのため,株主リストの作成ができない場合には,登記申請は却下されるものと考えられる。
したがって,現在の株主の氏名等をもとに,過去の株主総会までに行われた株式の譲渡や相続の状況を確認の上,株主総会時の株主の情報の把握に努める必要がある。なお,株主の情報の把握に当たっては,税務署において, 確定申告書の閲覧をし,その別表2を確認することも有益と考えられる。

Q.20 株主総会議事録等の内容として「株主リスト」の必要的記載事項が記載されている場合,当該記載を援用することができますか。

A.20 援用することができると考えられる。100%子会社や株主が特定少数である中小企業の実務としては,株主総会議事録の定番の記載内容として「株主リスト」の必要的記載事項を網羅しておくとよいであろう。
逆に,閲覧申請者の利害関係による閲覧可能部分(商業登記規則第21条第2項第3号)が株主総会議事録にのみ及び,「株主リスト」には及ばないこともあり得るので,株主総会議事録とは別に書類を作成する方がよいとも言える。

Q.21 株主に相続が発生している場合に,「株主リスト」にはどのように記載しますか。

A.21 「株主リスト」にどのように記載すべきかは,対象となる株主総会の開催に当たり,当該会社が誰を株主として取り扱ったのかに従い記載することとなる。
株主に相続が発生し,遺産分割協議が未了である場合,当該株主が所有していた株式は,共同相続人の共有となるから,株主の氏名及び住所としては, 当該共同相続人全員の氏名及び住所を列挙することになる。
その他法務局ホームページ「主要な株主Aが死亡した場合の株主リストの記載(PDF)」(別添「各種様式等」)を参照。(http://www.moj.go.jp/content/001214714.pdf)

Q.21-2 基準日前に株主に相続が発生し,株式会社もそれを承知していましたが,当該基準日までに遺産分割が未了であった場合,「株主リスト」 にはどのように記載しますか。基準日までに遺産分割を了していたとしても,株式会社が株式の承継人が誰であるかを知らなかったときは,どうでしょうか。

A.21-2 基準日前に株主に相続が発生し,当該基準日までに遺産分割が未であったときは,株式は,共同相続人の共有である。よって,権利行使者の指定の通知の有無を問わず,「株主リスト」には,共同相続人全員を記載する。基準日までに遺産分割を了していたとしても,株式会社が株式の承継人が誰であるかを知らなかったときは,同様である。

Q.21-3 基準日前に株主に相続が発生し,当該基準日までに共同相続人が遺産分割を了しており,株式会社も株式の承継人は誰であるかを承知し ていたが,株主名簿の名義書換えが未了であった場合,「株主リスト」には どのように記載しますか。

A.21-3 株主総会の招集手続の時点までに株式の名義書換えを了していれば,株式会社は,当該株式の承継人を,議決権を行使することができる株主として取り扱うことになるので,「株主リスト」には,当該承継人を記載する。株主総会の招集の時点までに株式の名義書換えが未了であった場合には,株式会社が名義書換未了の承継人を株主として取り扱ったときは,当該承継
人を記載し,そうでないときは,被相続人の氏名等を記載する。

Q.21-4 基準日前に株主に相続が発生していたが,株式会社がそれを知らないまま当該基準日を経過している場合,「株主リスト」にはどのように記載しますか。

A.21-4 株式会社は,当該株式会社が基準日現在において認識していた情報を記載すればよいので,被相続人の氏名等を記載する。

Q.21-5 基準日後に相続が発生したときは,「株主リスト」にはどのように記載しますか。

A.21-5 基準日後に株主に異動が生じたとしても,株式会社は,当該株式会社が基準日現在において認識していた情報を記載すればよいので,被相続人の氏名等を記載する。

Q.22 株主の現在住所が不明(株式会社が株主に対してする通知又は催告が長期にわたって継続して到達しない)である場合には,住所はどのように記載しますか。
株式会社から「株主リスト」の作成のために株主の住所の調査依頼があった場合,職務上請求用紙を使用することができますか。

A.22 株主の現在住所が不明であったとしても,株式会社が情報として把握している住所(株主名簿に記載されている住所)を記載すればよい。株式会社は,株主リストの作成のために,敢えて調査する必要はない。依頼者である株式会社において,戸籍法等の第三者請求の要件を満たさないと考えられるので,職務上請求用紙の使用は,不適切な事案である。

Q.23 「株主リスト」の作成者(記名押印をすべき者)は誰か。登記所届出印の押印は必要ですか。

A.23 「株主リスト」の作成者(記名押印をすべき者)は,登記申請を行う株式会社の代表者であり,登記所届出印の押印を要する(平成28年6月23日付法務省民商第99号民事局商事課長依命通知)。
数年前の株主総会議事録を添付する場合であっても,「株主リスト」の作成者(記名押印をすべき者)は,登記申請を行う現在の代表取締役である。

Q.24 附属書類の謄写はできますか。

A.24 附属書類の謄写はすることができない(商業登記法第11条の2)。なお,法人登記申請書類は,汚損のおそれがなく,かつ事務に支障のない限り写真撮影を許して差し支えないとされている。(昭35.3.15,民事甲第624号民事局長電報回答・先例集追Ⅲ1145頁,登研149号156頁)

Q.25 複数の株主総会により,複数の登記事項が発生し,これらを一括して登記申請する場合,それぞれの株主総会議事録ごとに株主リストが必要ですか。

A.25 「株主リスト」に記載すべき株主は,当該株主総会において議決権を行使することができるものをいうから,複数の株主総会により,複数の登記事項が発生し,これらを一括して登記申請する場合には,登記すべき事項ごとに当該株主総会において議決権を行使することができる「株主リスト」を添付しなければならない。ただし,一の株主総会において,複数の登記すべき事項について決議された場合において,各事項に関して株主リストに記載すべき事項が同一である場合には,その旨注記して,一の株主リストを添付すれば足りるとされている。

Q.26 「株主リスト」に関する商業登記規則の規定は,持分会社,その他法人への準用はありますか。

A.26 「株主リスト」の提出を要するのは,株式会社(特例有限会社を含む。),投資法人,特定目的会社である。持分会社,その他法人について は,「株主リスト」の提出を要しない。

Q.27 閲覧申請書に押印は必要ですか。

A.27 署名又は押印が必要とされている。
※記載例については,法務局ホームページ(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html)に公開されている。(記載例 2-2)

Q.28 名義株主については,どのように記載すればよいですか。

A.28 株主名簿に記載されているとおりの氏名,住所等を記載する。

Q.29 自己株式がある場合は,株主リストはどのように記載するのですか。

A.29 商業登記規則第61条第3項に基づく株主リストには,自己株式の記載は要求されていない。また,自己株式等の議決権を有しない株式の株主について株主リストに記載したとしても,当該株主についての記載は,株主リストに記載すべき人数に関するものとは認められない上,議決権割合の分母にも算入されないことになるので,注意を要する。
なお,商業登記規則第61条第2項に基づく株主リストには,自己株式の記載が要求される。株式会社がその自己株式を有する場合には,株式会社自身は,その株式会社の株主である(相澤哲ほか著『論点解説 新・会社法』151頁,2006年商事法務)とされているためである。

Q.30 申請書の添付書面として,株主リストはどのように記載すればよいですか。

A.30 法務省のホームページでは,「株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)」という記載例が示されている。

Q.31 従業員持株会はどのように記載すればよいですか。

A.31 原則通り,株主名簿に記載されているとおりの名称と住所を記載する。従業員持株会が民法上の組合や権利能力なき社団の場合,株主名簿には,
組合の名称や社団の名称とその住所を記載することができる。また,任意的に代表者名を併記することも認められている。

Q.32 次の場合の株主リストの作成者(記名押印をすべき者)は誰ですか。

①吸収合併の場合における吸収合併消滅会社の株主リスト
②新設合併の場合における新設合併消滅会社の株主リスト
③株式会社が組織変更をする場合における組織変更をする株式会社の株主 リスト

A.32 ①については吸収合併存続会社,②については新設合併設立会社,③ については組織変更後の持分会社の代表者である。
株主リストについては,平成28年6月23日付け民商第99号商事課長依命通知において,登記所届出印を押印すべきものとされているところ,これは,登記官において,株主リストの作成の真正を確認できるようにする趣旨である。
そのため,合併,組織変更については,消滅会社等の権利義務の全てを承継し,登記の申請人となる吸収合併存続会社,新設合併設立会社又は組織変更後の持分会社の代表者が作成し,登記所届出印を押印すべきものである。なお,債権者保護手続に関する上申書等については,登記所届出印を押印すべき旨の規定等がないので,従来の実務のような取扱いがされているものである。今回の商業登記規則の改正による株主リストと,債権者保護手続に関する上申書等に関する従来の実務とは,同様に考えることはできないものと考えられているので,留意されたい。

Q.32-2 次の場合の株主リストの作成者(記名押印をすべき者)は誰ですか。

④吸収分割の場合における吸収分割会社の株主リスト
⑤新設分割の場合における新設分割会社の株主リスト
⑥株式交換の場合における株式交換完全子会社の株主リスト
⑦株式移転の場合における株式移転完全子会社の株主リスト

A.32-2 ④については吸収分割会社,⑤については新設分割会社,⑥については株式交換完全子会社,⑦については株式移転完全子会社の代表者である。
なお,いずれの場合も各株式会社の代表者の登記所届出印を押印しなければならないが法令の規定等により印鑑証明書を添付しなければならない場合を除き,各株式会社の印鑑証明書は,添付を要しない。

Q.33 株主が外国人(又は外国の法人)で,その氏名及び住所等について, 外国文字のみ把握している場合には,株主リストにどのように記載すればよ いでしょうか。

A.33 株主名簿上,外国人株主を外国文字の表記で把握している場合には, 株主リストにも外国文字で記載すれば足りる。

 

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