共同相続人の一人に対して債権を有する債権者が当該一人の相続人に代位して共同相続人全員のための相続の登記を行い,債務者である当該一人の相続人の相続持分について差押えの登記を行った後に,当該差押えの登記が抹消された場合において,当該相続の登記の前に共同相続人の間で遺産分割の協議が成立していたため,登記された相続分が実体と相違していたとしてする更正の登記については,当該代位者は,登記上の利害関係を有する第三者には当たらない
債権者代位によってされた相続登記について更正登記をする場合の代位者の承諾の要否
要旨 共同相続人の一人に対して債権を有する債権者が当該一人の相続人に代位して共同相続人全員のための相続の登記を行い,債務者である当該一人の相続人の相続持分について差押えの登記を行った後に,当該差押えの登記が抹消された場合において,当該相続の登記の前に共同相続人の間で遺産分割の協議が成立していたため,登記された相続分が実体と相違していたとしてする更正の登記については,当該代位者は,登記上の利害関係を有する第三者には当たらない。
問 共同相続人の一人に対して債権を有する債権者が当該一人の相続人に代位して共同相続人全員のための相続の登記を行うとともに,債務者である当該一人の相続人が相続した持分について差押えの登記を行った後,当該差押えの登記が抹消された場合において,当該相続の登記がされる前に共同相続人全員の間で持分を法定相続分と異なる割合とする遺産分割の協議が成立しており,登記された持分が実体と相違していたことが判明したときには,登記事項の一部について錯誤があるとして,更正の登記をすることができるところ,昭和39年4月14日付け民事甲第1498号民事局長通達及び大判大正9年10月13日民抄録89巻22000頁では,債権者が代位により行った相続の登記について,当該債権者が知らないうちに相続人が更正の登記を行うと代位の目的を達成することができなくなることから,当該債権者は登記上の利害関係を有する者に当たり,その承諾を要するものとされているものの,更正の登記に当たり既に代位による相続の登記を前提とする差押えの登記が抹消されている場合には,当該代位者は,登記記録上の利害関係を有する第三者には当たらず,その承諾は不要と考えますが,いかがでしょうか。
答 御意見のとおりと考えます。